ASローマは2020年にナイキとの契約を解除した

アナリストたちは、過去にプーマ(Puma)のCEOも務めていたアディダスの新CEOビョルン・ガルデンが、ナイキとのライバル関係を再び活性化させる可能性もあると見ている。

12月に行われたアナリストとの電話会議で、ナイキ幹部は在庫の膨張の深刻さを重視しておらず、ナイキ製品には強い需要があることと、近年ほとんどの小売業者に打撃を与えたサプライチェーンの混乱の影響が残っていることを指摘した。

※ASローマは2020年にナイキとの契約を解除した。

ナイキとアディダスは何十年もライバル関係にあったが、近年はナイキの方がかなり先を走っている。ナイキの売上高は直近の会計年度で467億ドル(約6兆2000億円)だったのに対し、アディダスの2021年度の売上高は212億ドル(約2兆8000億円)だった。

ナイキにとっては、中国の動向も大きな関心事だ。急激に成長する巨大国家であり、デジタルに精通した消費者がいることから、売上増加を目指すスポーツウェアブランドにとって、中国は重要で利益率の高い市場となっている。

確かにそうだ。11月30日に終了した四半期で、ナイキは中国での売上(為替の影響は含まない)が6%増加したと発表した。アナリスト向け電話会議で、ナイキのジョン・ドナホー(John Donahoe)CEOは、同社が中国市場向けに「ローカライズされた製品」を作ることに成功しつつあると述べた。

しかし、2022年5月31日に終了した会計年度のナイキの中国での売上高は9%減少し、75億ドル(約1兆円)だった。ナイキの全売上高に占める中国の割合は17%だが、税引前利益では28%を占めている。

これは、2023年に向けてナイキが抱える大きな問題でもある。Insiderはウォール街のアナリストに、ナイキに期待することについて話を聞いた。銘柄選択を行う投資家が最も気にしているのは、同社が在庫を処分し、中国での売上を伸ばす必要があるということだ。一方、アナリストたちはビョルン・ガルデン(Bjørn Gulden)を新たなCEOとして迎えたアディダス(Adidas)が、ナイキとどのような競争を繰り広げるのかということも気にかけている。

2022年9月、ナイキは在庫が44%になったことからその処分のために値下げをすると発表した。その3カ月後、12月の在庫は43%で、バランスシート上にはまだ93億ドル(約1兆23億円)以上に相当するフットウェアとアパレルが記載されている。

12月の決算報告を前に、BMO Capital Marketsの株式調査担当マネージングディレクター、シメオン・シーゲル(Simeon Siegel)は、ナイキは中国での危機を脱したようだとInsiderに語った。

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