「メッシがこのW杯で優勝すれば 彼ということになるかもしれない

フランスのエムバペとの得点王争いでも並んだメッシは「このW杯を通して幸せを感じている。非常に優れたスタッフがいて、僕らを助けてくれている」と満面の笑み。過去のW杯をともに戦ったアイマール、アジャラ、サムエルらがコーチとして入閣したのも結果につながっている。

「メッシがこのW杯で優勝すれば、彼ということになるかもしれない。2人に差をつけていたのは、W杯での優勝経験の有無だった。マラドーナはW杯で優勝している。もしメッシが今回優勝したら、私の見方は変わるだろう」

比較は世代を超えるため、議論には異なる背景が加わる。それでもメッシが、ペレや、決勝が行われたルサイル・スタジアムで多くのアルゼンチンのファンが持っていたバナーに描かれていた人物と、同列の英雄であることは否定できない。

メッシはその後、チームメートのアンヘル・ディ・マリアの2点目をお膳立てをした。アルゼンチンは勝利への道を進み始め、ファンたちの間ではお祝いムードが広がった。するとそのとき、事前に予想されていたエムバペとの対決が、衝撃的な形で勃発した。

グループステージ第2節・メキシコ代表戦では、64分にメッシらしい左足のコンパクトな振りからグラウンダーのボールがゴール右隅を捉えて先制点をマーク。さらに87分にはエンソ・フェルナンデスのゴールをお膳立てするなど1ゴール1アシストで今大会の初勝利に貢献した。

そしてこの試合、メッシは“真骨頂”を発揮する。右サイドでドリブルを仕掛けたメッシは、今大会で株を上げているグバルディオルを翻弄。鋭い切り返しの連続から突破すると、アルバレスのゴールをアシストした。

メッシがその頂点に立つまでの物語は、どこから始めればいいのだろうか。アルゼンチンのW杯優勝と、永遠にリオネル・メッシの名と共に語られることになった大会のクライマックスに至るまでの出来事は、どうやって語ればいいのだろうか。

アルゼンチンの主将メッシは、世界年間最優秀選手賞(バロンドール)を最多の7回受けるなど、史上最高のサッカー選手とも評される。チャンピオンズリーグで4回、スペインとフランスのトップリーグで計11回優勝。昨年はアルゼンチン代表としてコパ・アメリカも制覇した。

その前にアルバレスにはPK奪取の手柄もあった。決めたのはメッシ。対峙したのは日本、ブラジルをPK戦で沈めたあのリバコビッチだったが、役者が一枚も二枚も上だった。左に跳んだGKの手の届かないところをぶち抜いた。

サッカー専門誌のフランス・フットボールは30日、2022~23年シーズンの最優秀選手賞「バロンドール」を発表し、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(36)=マイアミ=が2年ぶりに選ばれた。メッシは自身が持つ単独最多記録を更新する8度目の受賞。 メッシは昨年のワールドカップ(W杯)カタール大会でアルゼンチン優勝の立役者となり、大会最優秀選手に選ばれた。昨季所属したパリ・サンジェルマン(PSG)ではフランス1部リーグの2連覇に貢献した。2位はノルウェー代表FWハーランド(マンチェスター・シティー)、3位はフランス代表FWエムバペ(PSG)だった。 女子部門では、W杯優勝に貢献したスペイン代表MFボンマティ(バルセロナ)が初選出。候補に挙がっていた日本代表(なでしこジャパン)の宮沢ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)は12位、長谷川唯(マンチェスター・シティー)は27位で受賞はならなかった。

このゴールで、ワールドカップ通算11得点としたメッシは、レジェンドであるガブリエル・バティストゥータ氏の10得点を抜いて、アルゼンチン代表におけるワールドカップ最多得点記録保持者となった。

決勝でフランスは80分間、相手にほぼ全く脅威を与えなかった。まるでメッシの戴冠式のために、レッドカーペットを敷いているようだった。スタジアムはメッシの遊び場と化し、彼はアルゼンチンの先制点をPKで獲得。男子W杯の1つの大会で、1次リーグ、ベスト16戦、準々決勝、準決勝、決勝のすべてで得点を挙げた初の選手となった。

メッシは夢を実現した。感情をかき乱し、脈拍を変調させた、史上最も劇的とされるW杯決勝の末に、彼は頂点を極め、その輝かしいコレクションを隙間を埋めて完成させた。

メッシは、アルゼンチン代表だったディエゴ・マラドーナ氏(故人)と比べられ、「どちらが史上最高のサッカー選手か」という議論の的にされることも多い。

これこそが求めていたものだった。このトロフィーこそ、メッシの何百万人ものファンたちが、彼が史上最高のサッカー選手であることの「証拠その1」として使うものだった。

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