メッシ アディダス 契約金

視聴者が目にするのは、その時々の髪型で、アディダスのユニフォームおよびシューズ姿の自分と相対するメッシーー短尺で、18年間と5つのワールドカップを一気に網羅するストーリーだ。

長年、メッシ氏はアディダスにとって、触れる物すべてを黄金に変えるギリシャ神話の王ミダス的存在となっている。2017年2月に生涯契約を締結して以来、同社はメッシ氏をイメージした特別モデルのシューズをいくつか発売しており、いずれも世界中で人気を博している。

動画にはまず、当時のアルゼンチン代表監督ホセ・ペッカーマン氏からドイツ大会に召集される前、まだ18歳のメッシ氏が登場する。青年は、2010南アフリカ大会に出場した22歳のメッシ氏にパスをする。続いて2014年、大会随一の名選手であることを証明して見せたブラジル大会でのメッシ氏が現れ、2018ロシア大会の自分にパスをする。

当時のアンケート調査では実際、メッシ氏といえば、アディダスよりもナイキのイメージが強い、との回答が70%に上っている。

アディダスが制作した件の動画は、CGIを駆使し、5人のメッシ氏がピッチ上でパスを出し合い、助言を与え合う姿を映し出す。

同チームの顔である主将、リオネル・メッシ氏の働きは、ピッチ内だけでなく、その外でも高く評価されている。独スポーツウェア大手のアディダスにしてみれば、メッシ氏の最後のワールドカップと思われるカタール大会で彼を讃えることは、販促のまたとない好機だった。

「アルビセレステス」の愛称で知られるアルゼンチン代表は2022FIFAワールドカップ・カタール大会で優勝を果たし、36年ぶりに同国にワールドカップトロフィーを持ち帰ってきた。多くのファンがメッシ率いるアルビセレステスに魅了され、ブランドスポンサーも驚喜させ続けた。もちろん、アディダス(Adidas)も然りだ。

「美しき記憶の数々。我らファミリーがするのは、不可能を現実にすること」との投稿が、アディダスのソーシャルメディアのページに登場。その後、それと同じ投稿をリオネル・メッシ氏自身が、3億8800万人のインスタグラムフォロワーに向けて発信した。

専門家らによれば、年齢差を感じさせずに5人の異なるメッシ氏を違和感なく見せるテクニックは、AI技術の賜物だという。また、場面と場面の滑らかな繋ぎにはおそらく、いわゆるボディダブル(出演者の替え玉となって演技する俳優)も使われている。

アルゼンチン代表のメッシ(パリSG)が1億2千万ドルで2位、昨年トップだったポルトガル代表のロナルド(マンチェスター・ユナイテッド)は1億ドルで3位となった。今季大活躍するノルウェー代表のハーランド(マンチェスター・シティー)が3900万ドルで6位に入り、J1神戸のイニエスタは3千万ドルで9位だった。

では、PUMAがネイマールへ巨額を投資した理由は何か。ビョルン・グルデン最高経営責任者(CEO)は声明で「彼は世界のベストプレーヤーの1人で、世界のフットボールとユースカルチャーに極めて影響力がある」とネイマールを手放しで褒めた。ピッチに立つスパイクとともに、ライフスタイルウェアのブランドアンバサダーとしてオフザピッチでの発信力も買った。ネイマールのSNSのフォロワーはInstagramが1億4000万人、Facebookが6500万人、ツイッターが5000万人を数える。現状はメッシ、C・ロナウドのツートップには及ばないものの、マーケティングの観点からすれば、28歳のネイマールの「市場価値」は33歳のメッシ、35歳のC・ロナウドよりも、さらに持続的な成長を期待できるだろう。
懸念もある。他ならぬネイマールを取り巻くピッチ内外でのゴタゴタだ。PSGは8月23日のUEFAチャンピオンズリーグ決勝でバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に敗れて初優勝を逃したが、直後にスペインのイビサ島で休暇を過ごしたネイマールは新型コロナウイルスに陽性反応を示した。9月10日のRCランスとのリーグ・アン(フランス1部リーグ)開幕戦は欠場し、チームは0-1で初戦を落とした。続く9月13日のオリンピック・マルセイユ戦でネイマールは復帰を果たし先発に名を連ねたものの、再び0―1で敗戦。PSGの開幕2連敗は1984-85年シーズン以来、36年ぶりの異変だ。さらにマルセイユ戦でネイマールは相手DFアルバロ・ゴンサレスから人種差別発言を浴びたと主張し、一方のA・ゴンサレスはネイマールから同性愛者を侮蔑する言葉をぶつけられたと訴え、ネイマールはマルセイユの日本代表DF酒井宏樹に対する人種差別発言まで取り沙汰された。試合中にA・ゴンサレスの頭を殴って報復したネイマールは退場となり、2試合出場停止に。スペインのスポーツ紙「AS」によれば、さらにネイマールには最大で20試合、A・ゴンサレスにも10試合の出場停止という厳罰が下される可能性があった。ネイマールのイメージ悪化を憂慮したPUMAがA・ゴンサレスとの調停に乗り出したとも報じられた。最終的にフランス・フットボールリーグ(LFP)は「証拠不十分」として両選手に追加的な処分を行わず、PUMAは窮地を脱した。
人種やジェンダーを巡る差別、粗暴な振る舞いは、世界的なブランドイメージの急落につながり、記録的な経済損失を生じさせかねない。ウルグアイ代表FWルイス・スアレス(アトレティコ・マドリード)がFIFAワールドカップ2014ブラジルで、イタリア代表DFジョルジョ・キエッリーニ(ユベントス)に嚙みついた騒動は記憶に新しい。スアレスはFIFAから代表戦9試合の出場停止と4カ月の活動停止という厳しい処分を受け、契約していたadidasはスポンサー料を大幅に減額したとされる。C・ロナウドが2018年に女性に対する性的暴行で訴えられた際(後に嫌疑不十分で不起訴)には、本人が否定する中、Nikeは事態を憂慮する声明を出している。世界の耳目を集めるサッカー界のトップスターの存在感は、巨額をつぎ込むスポンサー企業にとっては諸刃の剣である。

すべては一瞬の出来事であり、その後ろにオーパスによるテーマ曲「ライヴ・イズ・ライフ」が流れる。最後に、ワールドカップを高々と掲げる飽くなき夢を抱き続ける男、2022カタール大会のリオネル・メッシ氏が現れ、過去4人の自分との練習に合流する。

ちなみに、最近のいわゆる「メッシバース」の覇者は、アディダス以外にもいる。ペプシ(Pepsi)、レイズ(Lays)、ゲータレード(Gatorade)も、かのアルゼンチン代表主将の広告パートナーリストに名を連ねている。

アディダスはそこで、複数のソーシャルチャネルにおいて、短いが内容の非常に濃いCMを配信した。それは、過去4回のワールドカップでプレーした当時の自分と相対するメッシ氏を主役に配したものであり、そこにはもちろん、伝説的英雄ディエゴ・マラドーナ氏と比較されつつも、ぼさぼさの髪で胸に一杯の夢を抱え、2006年のワールドカップドイツ大会に初出場した初々しい姿もあった。

いずれにせよ、何年も前にメッシ氏とスポンサー契約を交わした企業が、アルゼンチン代表の優勝によって最大のうまみを味わうのは間違いない。

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