一方 移籍1年目だった昨季のメッシはリーグ戦で6ゴール

続いて「かなり間が空きましたが、またこうやって日本に来れて嬉しく思っています」と話したのはメッシ。

自分でフィニッシュもできるし、ドリブルで1人、2人とマークを外し、攻撃の起点にもなれる。プレーから性格の良さが見えるというか、自分で行ける場面で味方に点を取らせてあげることもある。メッシやネイマールに対してギラギラしてぶつかってもおかしくないのに、2人に最大限のリスペクトを持っているのを感じる。

2015年以来の来日となるメッシは、「僕自身は前回の来日からかなり間が空いたけれど、日本のサッカー熱が素晴らしいことは分かっている。(シーズン開幕へ向けた)良い調整になることもね」と、落ち着いた口調のなかに静かな興奮をのぞかせた。

クラブ・ブルージュ戦に先発した(右から)リオネル・メッシ、キリアン・エムパベ、ネイマール(パリ・サンジェルマン)この記事に関連する写真を見るエムバペ、ネイマール、メッシ。以降、PSGに得点が生まれなかった理由は、このスターFW3人のポジショニングと深い関係がある。そしてそれは、十分に想定された現象だった。3FWをエムバペ、ネイマール、アンヘル・ディ・マリアで組んだ昨季から見られた傾向だからだ。

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欧州夏の移籍マーケットの“王者”は間違いなくパリ・サンジェルマン(PSG)だろう。アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ、スペイン代表DFセルヒオ・ラモスという、昨季までバルセロナとレアル・マドリードのスペイン2強クラブでキャプテンを務めた選手を同時に獲得するなど、前代未聞の出来事と言っていい。

アウェイに乗り込んだPSG。フランス代表FWキリアン・ムバッペはスタメンに名を連ねたものの、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシとブラジル代表FWネイマール(出場停止)を欠く布陣で臨んだ。

ちなみに年俸トップはブラジル代表のFWであるネイマールで、その額は約65億2536万円。それに次ぐ2位となったアルゼンチン代表のメッシも、約54億6750万円ということで引けをとらない金額である。

一方、移籍1年目だった昨季のメッシはリーグ戦で6ゴール。やはり得点に関しては物足りない数字だった。環境を変えるのはメッシでさえも難しい面があったのだろう。ボールを持つ時間が以前より短くなったのはチーム戦術も影響している。時間とスペースが限られる今のサッカーで、以前ならドリブルで2人くらい抜いていたところで相手を引きつけて味方にフィニッシュさせるというようにプレーの優先順位も変わってきたのだと思う。

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そのメッシとバルセロナ時代から息の合ったプレーを見せているのがネイマール。近年は故障が増えているものの、先日の日本―ブラジルの代表戦でも素晴らしいプレーを見せたばかりだ。いろいろなアイデアを持った華のある選手で、DFやGKの逆を突くのがうまい。相手の重心移動をよく見ているのだと思う。ピッチでひらめきを披露して観客に興奮と驚きを与えてくれる、エンターテインメントのような意外性が楽しい。

再激戦区の前線は、メッシ加入でどのような構成に変わるのか注目される。現状では右にMFアンヘル・ディ・マリア、左にFWネイマール、そして中央にFWキリアン・ムバッペとなっているが、メッシがベンチに座ることは考えにくい。サポーターが期待する“MNMトリオ”の結成となれば、やはりメッシが右サイドで起用されることになるだろうか。しかし、攻守両面でチームに貢献できるディ・マリアもスタメンから外すには惜しいだけに、前線に4人が同時起用される4-2-3-1や4-4-2も今後のオプションとなりそうだ。ドイツ代表MFユリアン・ドラクスラーやアルゼンチン代表FWマウロ・イカルディ、スペイン代表FWパブロ・サラビアがバックアッパーという、相手にするには恐ろしいスカッドを擁している。

今年3月末にあった報道によれば、欧州5大リーグ(フランス、スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア)でプレーする選手たちの年俸ランキングのトップ10には、パリ・サンジェルマン所属の選手が3人も含まれているのだが、それが今回の来日メンバーにも含まれているメッシ、ネイマール、エムバペといった面々だ。

PSGとマンチェスター・ユナイテッド。今季、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドというスーパースターを、バルサとユベントスからそれぞれ移籍で獲得したことで、大会前から話題をさらっていたチームだ。その両チームが初戦で、それぞれのグループで最弱と目されていたブルージュ、ヤングボーイズ両チーム相手に躓いた。判官贔屓には歓迎すべき展開になった。

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